【実機レビュー】Ender-3 S1 vs Ender-3 S1 Pro【徹底比較】

3Dプリンター
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本記事ではEnder-3 S1 / Ender-3 S1 Proについて、実機を使用して分かった、良い点、イマイチな点を余すことなく記載しています。
記事を読めば、どちらを買うべきかが明確になります。

Ender-3シリーズは元々コストパフォーマンスに優れた機種です。さらにS1 / S1 Proは、今までの弱点を改善し、より魅力的な3Dプリンターとなっています。

本記事はEnder-3 S1 Proを株式会社サンステラ様よりご提供いただき、執筆しました。

  • Ender-3 S1:筆者購入
  • Ender-3 S1 Pro:株式会社サンステラ様ご提供

しかし、記事執筆には制限を受けておりませんので、イマイチな点も含めて記載をしております。

Crealityは3Dプリンタートップブランド

Black Friday Global Carnival - Users are the Ones that Creality Wants to  Bring Benefits to

Enderシリーズを製造するCrealityクリアリティー 3D社はコンシューマー向け3Dプリンターのトップブランドであり、本拠地は中国シンセンにあります。深センは中国のシリコンバレーとも呼ばれており、スマートフォンで有名なHWAWEIや、ドローンシェア70%を誇るDJIなどもここから誕生しました。

2014年に設立されたばかりですが、2022年現在、世界中のユーザーは120万人以上になっています。

○前機種Ender-3 V2からの進化ポイント

前機種にあたるEnder-3 V2から改良されたポイントについて解説します。

ダイレクトエクストルーダーでTPU対応

エクストルーダーがダイレクト式になった

大きく変わったのが、材料を送り出すエクストルーダーがダイレクト式に変更されたことです。

Ender-3 V2まではボーデン式と呼ばれる方式でした。

  • ボーデン式:ノズルとエクストルーダーが離れている ⇨ Ender-3 V2
  • ダイレクト式:ノズルの直上にエクストルーダーが配置される ⇨ Ender-3 S1 / Ender-3 S1 Pro

ダイレクト式へ変更されたことのメリットはこちら。

  • TPU等の柔らかい材料に対応
  • 材料の正確な押出しが可能

ダイレクト式のデメリットとしては、ヘッドが重くなり速度が出せなくなることが挙げられますが、軽量・コンパクトなエクストルーダーを新開発したことで、従来同等の造形スピードを担保しています。

実際にTPUも出力しましたが、全く問題なく造形ができました。

デュアルZ軸で造形精度が向上

Z軸用のモーターが2つになっている

高さ方向を制御するモーターが1個から2個に変更となり、さらに左右のモーターがベルトで連動することで、造形精度を飛躍的に向上しています。FDM式の3Dプリンターでは、Z軸の精度が非常に重要で、前機種のEnder-3 V2ではモーターは1つでしたが、2つに改造するユーザーがほとんどでした。それが今回公式の手で組み込まれています。

ガラスベッドからフレキシブルベッドに

造形テーブルが、ガラスからマグネット固定式のフレキシブルベッドに変更されました。造形後はばね鋼シートを曲げて造形物を比較的簡単に外すことができます。定着面の平面度が出やすいガラスベッドは剥がしにくいことがデメリットでした。

フレキシブルベッドでも平面はしっかりと出ており、造形品質に不満を持ったことはありません。

補助レベリング機能が標準搭載

エクストルーダーに高さセンサーが搭載されており、16点測定することで造形テーブルの傾きを調整する機能が標準で搭載されています。こちらも造形品質を向上させることに一役買ってくれます。こちらもEnder-3 V2で人気の改造となっていたものです。

ただし、あくまでソフト補正になるため、ハード面の調整(全体の傾き・テーブルとノズルの隙間)は別途実施する必要があります。

しかし、人の手で取り切れない傾きを調整してくれるという点で、非常にありがたい機能となっています。

フィラメントセンサー搭載

造形高さが20mmUP

V2に比べてS1 / S1 Proは造形高さが20mmUPしています。

  • Ender-3 V2:   幅 220mm ✕ 奥行 220mm ✕ 高さ 250mm
  • Ender-3 S1:   幅 220mm ✕ 奥行 220mm ✕ 高さ 270mm
  • Ender-3 S1 Pro: 幅 220mm ✕ 奥行 220mm ✕ 高さ 270mm

長く使っていると造形範囲があと少し足りないというシーンがあるため、嬉しい改良ポイントです。

○S1 / S1 Pro共通の良い点

組立が簡単

Ender-3 S1 Proを箱から出した状態の写真です。
ほとんど組み立てられた状態となっており、門型のフレーム・ディスプレイ・エクストルーダーを取り付けるだけで完成します。

引用:サンステラ公式

組立方法も説明書や、動画で解説されているため、難しいことはありません。

組立用工具もすべて付属するので、別途購入も不要です。

付属品が充実(ヘラは別途購入)

付属品が充実しており、造形までに必要な工具は揃っています。

ただし、ヘラは先端が分厚く、金属製でヒートベッドを傷つける恐れがあるため、別途購入をおすすめします。

私はinoueのカーボンはがしヘラ 40mmを使用しています。
耐久性は低めですが、安いので2本程度買っておくと良いです。

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静音性に優れる

引用:サンステラ公式

Ender-3 V2同様に静音性の高いマザーボードが搭載されています。

「設置場所を選ばない」とありますが、同じ部屋で印刷中に寝られるほど静かではないです。

とはいえ、企業向けで80万円ほどするRaise 3D Pro2並みに静かです。
押入れに置くか、寝室の隣の部屋に置く等、扉を挟めば動作音は十分に軽減されます。
私は廊下の押入れに設置していますが、動作させたまま快適に眠ることができています。

一昔前の3Dプリンターはモーター音がうるさく、起きているときでも気になるレベルだったため、5万円台の機種でこの静音性は驚異的です。

造形品質が高い

3Dプリンター界で最も有名な#3DBenchyを出力した結果です。
フィラメントはPolyMakerのPolyTerra PLAを使用しています。

結論から言うと、S1 / S1 Proで造形品質に差はありません。
フレームや、レール構造が一緒なためです。

両方とも造形品質レベルは非常に高く、数十万円する機種と遜色ないレベルです。

△S1 / S1 Pro共通のイマイチな点

Enderシリーズはコストパフォーマンスに優れた非常にすばらしい3Dプリンターですが、いくつかイマイチなポイントもあります。

初期調節が必要

「組立て15分」となっていますが、実際には調整が必要なことが多いです。
実際S1 / S1 Pro両方を組み立てましたが、いずれも各可動部のガタツキ調整を実施しています。

しかし、今は調整方法について解説されている日本人YouTuberが数多くいらっしゃるため、見ながら実施すれば難しくありあません。

私は下記動画を参考にしました。

Wi-Fiが無い

Ender-3 S1 / Ender-3 S1 Pro にはWi-Fiが付いていません。
印刷ファイルの転送は、基本的にSDカード経由で実施することになります。

ただし、Raspberry PiとOctoPrintの組合せにより、Wi-Fi化することが可能です。

導入にあたってはこちらの記事が参考になります。

ローラーの耐久性に難あり

約4ヶ月ほど使用したローラー

XYZそれぞれの軸を支えるローラーは樹脂製のため、使用により摩耗します。
ここは消耗品と割り切って、造形精度が落ちてきたときに交換する必要があります。

ローラーはサンステラ公式にて購入可能です。

Ender-3 S1 / S1 Pro 徹底比較

ほぼ同時期に発売された、Ender-3 S1 / Ender-3 S1 Pro の違いについて、実際に使ってわかったことも含めてまとめました。

結論:予算有ならEnder-3 S1 Pro

結論としては、以下の理由です。

  • LEDライトが秀逸
  • 標準でPEIシートが付属
  • テーブルの傾き調整がしやすい(ノズルの移動機能)

他にも多くの違いがあるため、次の章にて魅力をご紹介します。

○S1 Proのメリット

LEDライトの有/無

引用:サンステラ公式

Ender-3 S1 Pro で一番の嬉しいポイントはLEDライト付きであることです。
造形状態の確認や、各部メンテナンス時にとても役立ちます。
Ender-3 S1には付いておらず、部屋の照明だけでは暗いと感じるシーンが多々ありました。

さらにすばらしいのは、照明専用スイッチが搭載されている点です。

別スイッチになっているお陰で、必要なときだけ点灯させることができます。

プラットフォーム: PC/ PEI

S1 / S1 Proは造形物が印刷されるプラットフォームの種類が違います。
マグネットで固定されるフレキシブルタイプというのは共通です。

種類の違いは定着力に影響します。

結論としては下記になります。

  • Ender-3 S1:別途プラットフォームの追加購入がおすすめ
  • Ender-3 S1 Pro:プラットフォームは追加購入不要

それぞれメリットとデメリットがあるため、解説します。

PCシートの特徴:Ender-3 S1

黒いPCシートはバネ鋼板の表面にポリカーボネートが塗布されたものです。

メリット:定着力が強力
一層目がしっかり定着するため、細かい造形物の定着や、面積の広い造形物の反り対策で力を発揮します。

定着しづらい細かい造形でも問題なく印刷が成功

デメリット:造形物が剥がしにくい
定着力が良い反面、造形物はプラットフォームから剥がしにくくなります。

一部残ってしまう場合も

定着力が高すぎる場合は、プラットフォームを変更すれば問題ありません。

おすすめはサンステラの公式サイトからの購入です。
CREALITY純正のPEIシートで、Amazonの類似品より安くて納期も早いです。

もしもAmazonで探す場合も、サイズは235mm✕235mmのものを選択してください。

PEIシートの特徴:Ender-3 S1 Pro

PEIシートは定着がよく、冷えれば剥がれる優秀なシートです。

ノズルの最大温度

引用:サンステラ公式

S1 Proはノズルの最高温度がより高くなっています。

  • Ender-3 S1:  260℃
  • Ender-3 S1 Pro:300℃

S1で造形できる材料に加え、より特殊な材料も扱うことが可能です。
ただし、S1の260℃も十分に高い温度帯のため、基本的に困ることはありません。

特殊な材料はエンクロージャーも必要なことがほとんどです。
一般的なPLA、ABS、TPU以外で使いたい材料が決まっている方は、必要な温度帯を事前に確認するほうが良いです。

操作パネル:物理ボタン / タッチパネル

操作パネルにも違いがあります。

  • Ender-3 S1:  物理ボタン
  • Ender-3 S1 Pro:タッチパネル

S1は物理ボタンでつまみを「回す」+「押す」で操作します。

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引用:サンステラ公式

S1 Proは感圧式のタッチパネルになっています。

引用:サンステラ公式

スマホ同様のタッチパネルは、現代人には必須かもしれません。

ただし、S1 Proのタッチパネルは、2022/05/07現在日本語ファームは対応していないため、注意が必要です。(サンステラより公式に確認済)
とはいえ、簡単な英語ですのですぐに慣れます。

手動調整時に重宝するノズルの移動機能

S1 Proにはノズルをテーブルの中央と四つ角、5箇所に移動させる機能が搭載されています。
これにより、手動でテーブルの傾きを調整するときに非常に楽になります。

S1では、手でベルトを送ってノズルを移動させるか、ノズルの移動距離を毎回入力する必要があります。

ツールボックス:小 / 大

画像

S1 Proの方が一回りツールボックスが大きくなっています。
S1のツールボックスはニッパーを入れるといっぱいになるので、地味ではありますが嬉しい改良ポイントです。

△S1 Proのイマイチな点

S1から多くの改良点があるS1 Proですが、使ってみてわかったイマイチな点もあります。

タッチパネルUIの操作のしにくさ

正直、ユーザーインターフェイスはS1 ProよりS1の方が使いやすいです。
「物理ボタンだから」というより、機能の階層整理が直感的で、3Dプリンターを使い慣れている方であれば、説明書を読まなくても操作できるレベルです。
ただし、ここは慣れも大きく関わる部分のため、個人差があると思います。

ノズルの高さ調整単位が0.05mm

S1 / S1 Pro 共にノズルの高さを数値入力で変更する機能が付いています。しかし、変更量に差があります。

  • Ender-3 S1:  0.01mm単位
  • Ender-3 S1 Pro:0.05mm単位

なぜかS1 Proの方が調整単位が荒いです。
モーター等のハードは同じなので、できればS1の0.01mmに合わせていただきたいところです。

ファイル名が見切れる

これは印刷ファイルを選ぶ画面ですが、ファイル名が途中までしか表示されていません。
サンステラ公式にも確認しましたが、現ファームの仕様とのことです。現状は、ファイル名を短くして対処する必要があります。

タッチパネル自体が新しいため、このあたりは今後改善されていくと思われます。

新しいため情報が少ない

S1 Proは2022年4月に発売されたばかりの機種のため、情報が非常に少ないです。
少し高度なことをしようとすると、情報が見つかりにくいです。

例えば、私はPrusaSlicerで2色印刷をしようとしましたが、PrusaSlicerではEnder-3 S1 Proの構成ウィザードがまだ存在せず、うまく印刷することができませんでした。(1色の場合は問題なく印刷可能)

ただし、PLAを普通に印刷したり、公式のスライサーソフトを使う場合はもちろん問題ありません。

購入方法:初心者は日本代理店経由が◎

初心者の方は日本の代理店経由での購入がおすすめになります。手厚いサポートが魅力です。

オリジナルの日本語マニュアルも付属する

◎おすすめの構成

Ender-3 S1:PEIシート+LED照明

個人的になおすすめ構成は、Ender-3 S1にオプションでPEIシートLED照明を購入する組み合わせです。
S1 Proのハード面で魅力的な部分を取り入れた構成になっています。

LEDはなしでも良いと思いますが、PEIシートは純正でなくても購入しておくことをおすすめします。

S1 ProはザラザラタイプのPEIシートです。
特に純正品は凹凸が他のシートよりも細かく、高級感のある仕上がりになるためオススメです。

Ender-3 S1 Proと同じ、純正のPEIシートは現状Amazonでは売られていません。(2022.09現在)

LEDライトバーは私も購入し、S1に取り付けました。

LEDライトバーはAmazonでも購入可能です。

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Ender-3 S1 Pro:追加購入不要

Ender-3 S1 Proの場合は、追加でのオプションは不要です。

PEIシートで定着がうまくいかないことがあれば、他のシートも模索していきましょう。

総評

ハード面はどちらを買っても間違いなし

Ender-3 S1 / Ender-3 S1 Proについて、イマイチな点も含めて記載しましたが、正直どちらを買っても間違いはありません。Enderシリーズはコストパフォーマンスが高いためユーザー数が多く、ネット上に日本語情報が多くあることも魅力の一つです。

S1 Proは本体ファームの改善に期待

Ender-3 S1 Proのイマイチポイントはすべて本体ファームに起因する内容です。出たてのため、まだ改善の余地がありますがソフト面なので、これから改良されていくはずです。

指摘した箇所も致命的なものではないため、ハード面に魅力を感じた方は、迷わずProを買うことをおすすめします。

以上、3Dプリンター選びの一助になれば幸いです。

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